WIRES-IIとは


インターネット接続システム ワイヤーズ(WIRES) ついに日本で運用開始。アマチュア無線もインターネット時代へ

CQ,ハムラジオ6月号、8月号で紹介されたインターネットを利用したアマチュア無線の新しい通信システムWIRES(ワイヤーズ)。さらに実用的な運用を可能にしたアップデート版、WIRES-IIを発売いたします。WIRES-IIのベータテスト版は、8月初旬から全国販売店や関係機関において運用が始まっています。ホームページをご覧の方の中にはすでにWIRES-IIを使ってアマチュア無線を運用した方もいらっしゃると思います。

WIRESを導入するにあたって
離れた友人とインターネットを通してアマチュア無線を楽しむとか、同じ地域の友人同士でインターネットを組んで通話のカバー範囲を拡げるなど、WIRESは今まであこがれていた新しいアマチュア無線の可能性を大きく拡げるシステムです。日本でWIRESを使用するにあたっては、すでに許可されているフォーンパッチ運用に関して規定されている、社団法人日本アマチュア無線連盟発行の「アマチュア無線と公衆網との接続のための指針」に従い運用すれば、電波法上も問題なく運用することができます。基本的には、すでに免許を受けている無線機器にアナログ音声の入出力を制御するWIRESコントローラを接続するだけですので、特別な免許申請をする必要はありません。 また、WIRESを利用するローカル局もDTMFの送信だけですので、最近の技術基準適合証明取得機種のようにすでにF2まで免許されている無線機なら、そのまま利用できます。

WIRESの設置について
WIRESのベース局(無線LANのアクセスポイントみたいなもの)を設置するには、何が必要なのでしょうか?WIRESキットの中身は、WIRESのインターフェイスボックスHRI-100とソフトウェアCD-ROM(取り扱い説明書もPDFファイルとして入っています)、接続ケーブルです。また、WIRESでインターネット通信を行うために必要なコンピュータ(OS Windows98以上, CPU Pentium IIまたは、Celeron 200MHz以上, RAM 128MB、ハードディスク30MB以上の空き容量)、外部PTTとスケルチ信号が出力できるアマチュア無線機、通常のインターネット接続のラインが必要です。
あとは取扱説明書に従ってHRI-100をPCとトランシーバの間に接続してソフトをPCにインストールし、WIRESキットに同梱されているWIRESサーバー使用許諾書を郵送し専用のIDを受け取り入力するだけで、WIRES局の設置は完了です。

WIRESの特徴1:SRGとFRG
WIRESは、サーバーモードを利用してWIRESのサーバーに登録した多くの局とインターネット通信が可能です。運用操作と動作の違いでSRGとFRGの2つのシステムがあります。

WIRES-IIの特徴2:SRG
(Sister Radio Group:姉妹グループ)との通信
仲間同士でWIRES局を設置すれば、お互いに登録してあるアドレスを交換しお互いのPCにアドレスIDを設定します。仲間のWIRES局のアドレスは、最大10局まで登録できます。これをSRG (Sister Radio Group:姉妹グループ)と呼びます。これらの局は、いつも話ができる姉妹のように仲が良いグループという意味からこのような呼び方になりました。
WIRESのソフトウェアをPCにインストールする時に、最大10局までの相手WIRES局のアドレスを入力することができます。このSRG内の全ての局は同じリストを持つ必要がありますので、あらかじめ仲間同士でそれぞれの局のSRG番号を0から9までの番号に割り当てておく必要があります。運用方法は、送信時にDTMFパッドの0から9までの数字の中で自分が希望とする相手局の番号を押します。この時にSRGの中の全ての局に送信する場合は、DTMFパッドのAキーを押します。
通話は、送信の都度、同じDTMFキーを押すことで相手局とインターネットを通して交信を続けることができます。WIRES-IIに対応したインターネットキーがついている機器(スタンダードのVX-7やFT-8900など)であればパネル面にあるインターネットキーを押しておけば送信の都度、DTMFキーを押さなくても、自動的に設定されたDTMF信号を送信することができます。

WIRES-II SRGのシステム概念

WIRES-IIの特徴3:FRG
(Friendly Radio Group:友達グループ) との通信
仲間同士だけでなくWIRES局がお互いに自由にリンクできるようにしたのが、FRG (Friendly Radio Group:友達グループ)と呼ばれます。この名称は、仲の良い友達というような意味から来ています。たまに話をする仲間というような意味)
WIRES局を利用するローカル局は、サーバーに登録されている相手のWIRES局の6桁のアドレスを調べて、送信時に#1234Dのように送信することにより、指定したWIRES局へリンクすることができます。
この場合、最初にリンクが確立しインターネットでロックすれば、それぞれのWIRES局が設定した時間内ならば、リンク後はDTMF信号を前置しなくても、普通の交信ができます。ロック時間内に解除したいときは、#9999D のDTMF信号を送ります。
もし見知らぬ相手局からのアクセスを拒否したい場合は、WIRES-II設定の画面で、アクセスを“NO”に設定しておけば、6桁のDTMFによるアクセスがあっても受け付けません。この設定がしてあるWIRES局では、SRGに登録された10局だけの接続しかできなくなります。
ただ、アマチュア無線の普及という意味からも、できるだけオープンにして見知らぬ相手と通信をすることを楽しみましょう。登録した局には、スタンダードからアップデートされたFRGアドレスリストを配布する予定です。

WIRES-II FRGのシステム概念

いますぐインターネット通信をやってみよう
WIRES局リストは、スタンダードから供給されているベータテスト版で現在運用テストを行っている全国のWIRES運用局のFRG番号と住所、電話番号のリストです。これらのWIRES局の間では、現在エリアごとにSRGが設定されているということですので、それぞれのエリアのカバー範囲が大きく広がります。みなさんもWIRESを設置しているお近くの販売店へ行って、それぞれのWIRES局の運用周波数を確認し、インターネット通信を試してみてはいかがでしょうか?これらの局ではSRG接続とFRG接続の両方が可能ですので同じエリアの局とのQSO,遠距離の局とのQSOなど楽しみ方も色々あると思います。また、近くにWIRES局があれば、DTMFパッドのついたハンディやモービルで簡単にインターネット通信を楽しむことができます。 クラブ局や仲間でWIRES-IIを購入する場合は、設置してある近くの販売店に相談して、まずは運用周波数や運用方法を確認して、実際に運用してみてから購入してみてはいかがでしょうか。

最後に:
実際にワイヤーズを運用して遠距離のアマチュア仲間と交信をした時の感激は、アマチュア無線の初めての交信の時にワクワクしたようなあの感激に勝るとも劣らないものがあります。理論的に距離概念のないインターネット、そのインターネットを使って世界中のアマチュア無線仲間と通信を楽しむ。ワイヤーズの登場によっていままで考えられなかったアマチュア無線の新時代が到来したと言っても良いでしょう。

CQハムラジオ2002年9月号より抜粋


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